令和5年度人材開発支援助成金の「人材育成支援コース」のなかの「人材育成訓練」について計画届を提出しましたので、今回はその概要と計画手続きについて記入例とともに簡潔に紹介したいと思います。
支給申請についてはこちら↓↓
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
「人材育成訓練」の概要
人材育成訓練とは、従業員に仕事に関する訓練(座学)を実施した場合に訓練にかかった経費と訓練中の賃金が助成されるというものです。
例えば・・・事務員がエクセルセミナーを10万円で20時間受講した場合、10万円のうち60%以上の経費補助と20時間分の賃金補助があります。
人材育成訓練は「人材育成支援コース」の中にあり、「人材育成支援コース」自体は令和5年度4月より、人材開発支援助成金の「特定訓練コース」・「一般訓練コース」・「特別育成訓練コース」の3コースを統合して創設されたものです。※下記の図を参照
人材育成訓練の基本要件
訓練対象者 | 雇用保険被保険者 |
基本要件 | ・OFF-JTにより実施される訓練であること(事業内訓練又は事業外訓練) ・実訓練時間数が10時間以上であること |
【補足】
事業内訓練・・・自社が主催して開催する研修 ※講師は社員でも可能
事業外訓練・・・自社以外の教育機関で受講する研修です。
例)会社に講師を呼んで行う研修は事業内訓練です。
※講師を自社の社員にする場合、その分野での実務経験が10年以上の者が対象。
助成額・助成率
上図を見ると、経費助成については次の通りです。
※訓練受講者の雇用形態によって経費助成割合が異なります
雇用保険被保険者(正社員や無期社員)・・・・45%
有期契約社員・・・・・・・・・・・・・・・・60%
有期契約労働者を正社員に転換した場合・・・・70%
また、経費助成と賃金助成にそれぞれ「賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合」とあり、それぞれ+○○%になっています。
要は、訓練の後に給料が上がればその分経費助成割合が増額するというものです。
賃金要件の比較方法
訓練終了後1年以内に、5%以上増加させていること。(賃金改定後3ヶ月間の賃金総額と改定前3ヶ月間の賃金総額を比較して、全ての対象労働者の賃金が5%以上増加していること)
資格等手当要件の比較方法
資格等手当の支払いについて、就業規則等で規定した上で、訓練終了後1年以内に対象労働者に対して実際に手当を支払い、手当支払い前と後を比較して賃金が3%以上増加していること。
割増分の支給申請期限
要件を満たす賃金又は資格等手当を3ヶ月継続して支払った日の翌日から 起算して5カ月以内に申請します。
賃金助成限度額
- 1人1訓練当たり・・1,200時間 ※1労働者あたり1年度(4月~3月)で、3回まで申請可能。
経費助成限度額(1人当たり)
企業規模 | 10時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 |
中小企業 | 15万円 | 30万円 | 50万円 |
大企業 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
計画申請書一覧(記入例あり)
計画届の提出は訓練開始の1ヶ月以上前が原則です。
計画届時に必要な書類一覧を載せておきますが、実質、規定の様式は以下の3つです。
- 職業訓練実施計画届(様式第1-1)
- 訓練別の対象者一覧(様式第3号)
- 人材開発支援助成金 事前確認書(様式第11号)
赤枠部分のみ説明します。
職業訓練実施計画届(様式第1-1号)
人材育成訓練の場合、赤枠を記入します。
15.「訓練コースの名称」・・今回申請する訓練の名称を任意で設定します。
例)営業実務習得コース、WEBプログラミング習得コース、金型成型加工コースなど
17.「訓練の実施期間」・・訓練の初日と最終日を記入します。
18.総訓練時間・・訓練の全ての時間
18.実訓練時間数・・総訓練時間から助成金の対象とならない時間を引いた時間
20.訓練終了後の正規雇用労働者等への転換等の基準(対象が非正規の場合)
例)スキルの習得状況と役員面談、筆記試験により転換を判断する。転換時期は○月○日とする。
※キャリアアップ計画書を既に提出済みであり、キャリアアップ助成金の正社員化コースを活用予定の場合は、キャリアアップ計画書と就業規則の内容と「20」の内容を合致させておく必要があります。
令和3年度の記事ですが、手続きの流れは変わっていないので、記事を貼り付けておきます。↓↓
令和4年度の記事も貼り付けておきます。↓↓
但し、Aについて、計画届の赤枠で補足説明がありますが、A部分を記載することでキャリアアップ計画書を提出したここと見なしてくれるようです。
「人材開発支援助成金」を活用後、「キャリアアップ助成金-正社員化コース-」を使って正社員転換を行った場合に66.5万円(加算:95,000円)が受給できます(詳細はこちら↓↓)
訓練別の対象者一覧(様式第3号)
まだ採用していない人を訓練の対象にする場合、採用予定日欄に記入が必要です。
⑧受講回数については、それそれの労働者の当年度の受講回数(対象訓練の計画届を申請した回数)を記入します。※1労働者につき1年度で3回まで
就業規則(記入例)
キャリアコンサルティングについて規定した就業規則または事業内職業能力開発計画が必要です。
- 会社は、労働者に対してキャリアコンサルンティングを入社から3年ごとに行う。
- キャリアコンサルンティングを受けるために必要な経費は、会社が全額負担する。
事業内職業能力開発計画
キャリアコンサルティングについて規定した就業規則または事業内職業能力開発計画が必要です。
(例)入社から3年ごとに行う
その他の書類
事業内訓練か事業外訓練によって計画提出書類は違いますが、事業内訓練の場合、講師要件確認書が必要です。
支給申請について
支給申請:訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内
支給申請についての記事はこちら↓↓
人材開発支援助成金「人への投資促進コース」計画届レポートはこちら↓↓
まとめ
人材開発支援助成金の人材育成支援コース・人材育成研修について紹介しました。
これまでの助成金は正社員を対象にしたものは少なかったですが、今年度から正社員も対象で且つ申請書類を少なく、非常に使いやすくなっております。
従業員の賃金アップや正社員化のためのスキルアップのために大いに活用していきましょう。
コメント